5弦ベースのLow-Bの鳴りの改善方法やテンションのバランスについて


前置き

改善方法一覧

方法によって効果の大小が激しいと思うので複数組み合わせてみてください


テーパー弦にする

メーカーにもよるがバラで2000円弱で売っている
5弦セットが無い場合は4弦セット+5弦バラで買うと無駄がない

ストリングリテイナーやテンションピンを追加する

テンションを強く出来る
他の弦とのバランスも考える必要がある
ヘッドによっては効果が薄かったり取り付け出来ない場合もある

弦の素材を変える

ニッケルよりステンレスの方が音が明るいのでぼやけが改善する可能性がある
ただし同じゲージのラウンドワウンドではステンレスの方が張力がやや弱い(ダダリオ、エリクサーの公式テンションチャートを参照)
ステンレスの方が張力が強いと勘違いしている人が多いような気がする(原因は手触り、音色、ステンレス製のフラットワウンドが多いから?)

弦の種類を変える

コーティング弦は通常の弦よりテンションが強めの傾向にある
他にはフラットワウンドもテンションが強い
ただしフラット弦はラウンド弦と比べてテンションが急激に強くなるので出荷時と同じゲージを張るとほぼ確実にネックが反る(ひどいとブッシュが浮いたりもする)
ネックやナット溝の調整も必要な場合がほとんどなのでフラット弦にする時はある程度手間がかかる事を覚悟してください

弦高を変える

高くすると張力を稼げるが少々弾き辛くなり5弦だけ高くすると他の弦とのバランスも悪くなるので全体的に上げる必要がある

弦の巻き数を増やす

巻き数が多いほどテンションが強くなる
ヘッドの形状によるが巻きすぎるとペグとナットの間にある木材に接触してトラブルを引き起こす可能性が出てくる

弦の太さを変える

太い方がテンションが強くなる
ただし別の問題が発生したりかえって悪化する可能性がある
出荷時に張られていたゲージを把握しておきナットの微調整も必要

弦を裏通しする

裏通しだとテーパー部分がうまく機能しなくなる弦、微妙に長さが足りなくなる弦などがあるらしいので弦選びが複雑になるが効果は高そう
バランスを考えると1~3弦は裏通しせずに4弦と5弦を裏通しすると良いかも

新しい楽器を買う

お金があるならこれが一番良い
マルチスケールのベースなら普通の弦を張ってもテンションバランスは良好なはず







テンションのバランスの例

左が太さ(インチ)、右が張力の強さ(ポンド)です
数値に関しては公式サイトから引用しております

エリクサー 
https://www.elixirstrings.com/guitar-strings?v=Products
スーパーライトに.130twを足すのが良いかもしれません(ライトの2弦を.60にして.135を足すのも良さそうですが、.135のテーパー弦はエリクサーからは出ていません)

5弦単品 
.130 / 34    テーパー弦有   
.135 / 36    テーパー弦無

ニッケル  スーパーライト 
.040 / 34
.060 / 43
.075 / 38
.095 / 34     

ニッケル  ライト
.045 / 43
.065 / 51
.080 / 42
.100 / 37

ステンレス ライト
.045 / 42
.065 / 47
.080 / 40
.100 / 34

ステンレス ミディアム
.045 / 42
.065 / 47
.085 / 45
.105 / 37

ダダリオ  
https://www.daddario.com/products/guitar/bass-guitar/
テンションのバランス的にはEXL170BT+XLB135Tが最適に見えますが、5弦をテーパー弦にする場合は130Tの方が音のバランスが良いかもしれません

EXL220-5   40-125
XLB040 G2 0.040 32.4
XLB060 D2 0.060 40.9
XLB075 A1 0.075 35.4
XLB095 E1 0.095 31.7
XLB125 B0 0.125 30.3

EXL170-5  45-130
XLB045 G2 0.045 42.5
XLB065 D2 0.065 48.4
XLB080 A1 0.080 40.1
XLB100 E1 0.100 34.7
XLB130 B0 0.130 32.1

EXL170BT+XLB135T
XLB045 G2 0.045 42.5
XLB060 D2 0.060 40.9
XLB080 A1 0.080 40.1
XLB107 E1 0.107 39.4
XLB135 B0 0.135 35.0





材質、種類によるテンションの比較例

メーカーはダダリオ
1段目は商品名、ゲージ、素材、種類(極力近いゲージで比較しました)
2段目は数字は左が太さ(インチ)、右が張力の強さ(ポンド)
3段目が張力の合計   カッコ内はキロに変換した場合の大体の強さ

EXL170-5  45-130  ニッケル  ラウンドワウンド
https://www.daddario.com/products/guitar/bass-guitar/xl-nickel-bass/exl170-5-nickel-wound-5-string-bass-light-45-130-long-scale/
XLB045 G2 0.045 42.5
XLB065 D2 0.065 48.4
XLB080 A1 0.080 40.1
XLB100 E1 0.100 34.7
XLB130 B0 0.130 32.1

合計197.8lb(89.7kg)

EPS170-5  45-130   ステンレス ラウンドワウンド
https://www.daddario.com/products/guitar/bass-guitar/xl-prosteels-bass/eps170-5-prosteels-5-string-bass-light-45-130-long-scale/
PSB045 G2 0.045 39.7
PSB065 D2 0.065 44.9
PSB080 A1 0.080 37.1
PSB100 E1 0.100 32.1
PSB130 B0 0.130 29.8

合計183.6lb(83.3kg)

ECB81-5   45-132  クローム  フラットワウンド
https://www.daddario.com/products/guitar/bass-guitar/xl-chromes-bass/ecb81-5-chromes-bass-5-string-light-45-132-long-scale/
CB045 G2 0.045 47.0
CB065 D2 0.065 53.9
CB080 A1 0.080 45.7
CB100 E1 0.100 40.3
CB132 B0 0.132 38.7

合計225.6lb(102.3kg)

ETB92-5  50-135  ブラックナイロン  フラットワウンド
https://www.daddario.com/products/guitar/bass-guitar/tapewounds-bass/etb92-5-tapewound-5-string-bass-medium-50-135-long-scale/
TWB050 G2 0.050 40.0
TWB065 D2 0.065 38.7
TWB085 A1 0.085 35.7
TWB105 E1 0.105 33.2
TWB135 B0 0.135 31.4

合計179lb(81.1kg)







所持している5弦ベースでの実践結果

私は今回BB235にこちらを張ってみました。

数字は左が太さ(インチ)、右が張力の強さ(ポンド)
張力の合計   カッコ内はキロに変換した場合の大体の強さ

DADARIO EPS300-5 ProSteels 5-Strings 43-127 Tapered
G2 0.043 35.7
D2 0.063 42.4
A1 0.085 42.0
E1 0.107 36.7
B0 0.127 28.9

合計185.7lb(84.2kg)

EPS300-5にして場合はニッケルしか使ってこなかったので一度ステンレスを使ってみたかったのと、3,4,5弦がテーパー弦なのでその効果が気になったからです。
(主な目的としてはテンション弱めの細い5弦でもテーパー弦+ステンレスなら鳴りが改善されるかどうかを確かめるため)

出荷時の弦と比べて3弦と4弦が太いので4000番と8000番のやすりで慎重に削って少しナットを広げました。
たしかナット溝は弦に対して狭いよりは広い方がまだマシだったはずなので若干広めになるよう削りました。
(もちろんピッタリハマるように削れるならそれが一番いいんですけどね。)

最初は5弦のみ切らずに巻いてみましたが、巻き数が多くなりすぎて結局切ったので弦の長さ自体は裏通しにも対応していると思います。
ただしテーパー部分の長さは5~6㎝前後なので裏通しするとテーパー部分の意味がなくなる楽器もあるかもしれません。

張った感想
以前は4弦が暴れ気味で5弦が普通に暴れるといった感じでしたが、従来のセッティングにこの弦をそのまま張っただけで4弦は暴れなくなり5弦も暴れ具合がマシになりました。
おそらくテーパー弦にした効果だと思われるので、相当恩恵があるんだなと実感しました。
それでも5弦の暴れ具合をもう少し大人しくしたかったので弦高を見直してみることに。
するとさらに良化し、全体的な音のバランスと鳴りと弾いた時の感触が求めていた物になったので満足しています。
(弦高調整とテーパー弦で解決した感じなのでステンレス弦にした恩恵は正直よく分かりませんでした)




まとめ

標準的なゲージですべての弦のテンションを合わせようとすると5弦が相当な太さ(.145以上)になるので、バランスに関してはある程度割り切る必要があると思います
テーパー弦を使用する場合は同じ太さでも鳴りが異なるので、そこも考慮すると5弦の弦選びは非常に難しい事ですね
また私が見落としているだけかもしれませんが、メーカーの公式サイトを見てもテンションを表記していない所が多いのでその辺も問題になってきます
私が確認した限りでは上記2社の他にrotosoundもテンションの表記があるので参考にしてみてください
https://www.rotosound.com/product-category/bass-guitar-strings/